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【神田×アレン】見ててやるから

第5章 思い出 後編


「…なに、するんですか」
アレンは神田から離れようと、上半身を起こす。
しかし、神田はそれを許さず
逃げようとするアレンを抱きしめ、再び元の位置に戻す。

「行くな、そばにいろ」
神田の率直な言葉にアレンは赤面する。
暖かい体温を、感じながら神田はアレンの肩に顔をうずめる。
「しばらく…このまま」
神田はアレンの頬に唇を押し付けた。
「なっ!神田!?」
アレンは頬を押さえて焦ったり照れたりする。
その動作は大層可愛く見えた。
アレンの頬を両手で包み、ゆっくり唇を頬から移動させる。

「かっ…神田…っ」
神田はアレンの唇を食むようについばむ。
アレンは驚きと恥ずかしさと驚きで小さく震えた。
「神田…?どうして目閉じないのですか?」
アレンが真っ赤になりながら聞くと、
「大切な思い出を目に焼き付けておきたいからだ」
と、返され、アレンは堪らなくなった。

「思い出ってことは、
僕が神田と離れるの前提なんですか?」
神田は険しい顔をしている。

「まさか…僕がノアにのまれるとでも?」
返事は無い。
アレンはそれを肯定と見なした。
「信じてくれてると…思ったのに…」
神田は沈黙を貫く。

「信じて!神田!!信じてくださいよ…っ!」
今度はアレンからキスをする。
アレンはそのキスに精一杯の思いを込めた。

程なくして、神田はめいいっぱいアレンを抱きしめた。

「俺だって思い出なんかにしたくねぇよ…」
いつもより素直な自分。
神田はお酒のせいだと自分に言い聞かせた。

「神田…僕はノアになんか負けたくありません。
…でも、本当はすごく不安です…。
僕一人だと、不安になってしまうんですっ…!
だから…神田。ずっとそばで…」

アレンの涙を神田がついばむ。
そして大切なあいつに言った言葉を、
目の前の大切な少年につむぐ。

「ずっと見ててやるから」

抱きしめる腕が強くなる。
アレンはまた泣き出す。

神田はアレンに再びキスをする。
(思い出で終わりになんか、させるかよ)

神田は深く目を閉じた。
それを見ていたアレンは
もう一筋だけ涙を流して目をつむった。


雲の間から氷のような冷たい月が見える。
しかし、それはすぐにまた雲によって隠される。

まるで、二人の幸せが
つかの間のものだとでも言うように。

二人はそのまま深い眠りに落ちた。
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