第6章 真央霊術院
「破道の三十一 赤火砲」
「‼︎」
市丸は、いい意味で裏切ってくれた。
自然と主人公の名前は目を見開き、薄く笑いが零れた。
放たれた破道は、主人公の名前同様砂煙が舞った。
「あらら、やっぱり敵わんかぁ」
「…面白い」
戻ってきた市丸の後ろには、的を突き破り壁には凹みがついていた。
不敵に笑う市丸に、興味が湧く。
蛇のような、狐のような…不気味さが私の五感を支配するようだった。
「ねぇ、もう一度名前教えてよ」
「市丸ギン、東流魂街六十二地区花枯出身や」
「面白いね、市丸」
面白いといいながら、表情は変えずに立つ市丸を見上げた。
特に他意はない。
ただ、興味を持った。
それだけである。
「いややなぁ、ギンでええよ。主人公の名前ちゃん」
主人公の名前ちゃんと呼ばれた瞬間、寒気が走り鳥肌が立った。
なぜだか、ちゃん付けされるのは身体が拒否反応を起こすようだ。
「そう、ギン…私も主人公の名前でいい」
「おおきに、主人公の名前」
後から知ったことだが、ギンは私、主席の次に好成績で合格した有名な生徒だったらしい。