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君の瞳に映る傘【神威】

第16章 傘の一族


それから紗也さんは帰ったので
私は一人窓の外を見つめつづけていました

何時間経ったんでしょう
この部屋には時計がないみたいです。


「帰りたい」

銀時さんや神楽ちゃんや新八さん
そして久野瀬さん

会いたいです




ガチャ

そんなことを思っていると扉が開く音がしました。


「ただいま」


顔を向けるとそこには笑顔の神威さん
包帯をしているけど

隙間から笑っているのが見えました。


「おかえりなさい」

「あはは、いい子にしてた?」

「はい、紗也さんからご飯もいただきました」

「そっか」



傘を壁に立てかける手には包帯が巻かれているけど
それは真っ赤で

「あ…神威さんその手…」

「あぁ、たいしたことないよ」

「でも、痛そうです」

「すぐ治るから」


神威さんはそう言って笑うけど
見てられないほど血が出てました

夜兎は強いと聞きましたが
こんなひどくても大丈夫なんでしょうか。



「……」

「そんなに心配なのかい?」

考えると静かになるので
神威さんは私に問いかけてきました

「…はい」

「大丈夫だよ、本当に」

「……」

「……あんたに心配される筋合いはないし、誘拐したやつのことなんて心配しなくていい」


ため息混じりに
放たれたその言葉は冷たくて

視界に入った神威さんの顔は
言葉と同じで冷たかった。




神威さんは窓の方を見つめる
冷たく綺麗なその目には


何が映っているのでしょう
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