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君の瞳に映る傘【神威】

第16章 傘の一族


「戦闘種族…?」

「そう、あなたの腕に簡単にひびを入れられるように、夜兎族はとても力が強いんです。」

「…」

私は黙って話を聞く




「見た目は人間だけど、夜兎の特徴は肌が白くて日光に弱い。力は人間とは比べ物にならないくらい強いし、大食らいが多い…かな」

包帯を巻き終え
紗也さんは優しく手を下ろした。

「だから傘をさしてるんだ、日よけにもなるし、武器にもなる」

こんなもんかな、そう言って笑う紗也さんは
私を見つめて言う。

「神威は怖い?」


「……え」


「…」


なんだか紗也さんの顔が真剣だったから
戸惑っていまいました

「いいえ、怖くないです」

私は素直にそう言うと
まっすぐ紗也さんを見つめかえす



「あはは、ホントに面白い子だ。通りで神威が気にいるわけだ」

「?」

「いや、なんでもないです」

クスクス笑いながら紗也さんは言うけど
わたしってそんなに変わってるんでしょうか


「ご飯、冷めちゃいましたね」

「…あ、平気です」

「つい長話ししちゃいました、利き手はどっち?」

「右です」

「あーご飯食べるの痛いね、」


そう言うと紗也さんはスプーンでスープをすくいました

「はい、あーん」

「へ?」



するとそのスプーンは私に向けられ
私は口を開きました

「おいしい?」

「…はい!」


恥ずかしいけど、手は痛いので甘やかせてもらうことにしました。

スープはとても美味しくて
暖かかったです

「ふふ、それは良かった」


「ありがとうございます」

「いえいえ、これが僕のお仕事ですから」



夜兎……

神威さんはすごいんですね


なんだか私自分がちっぽけな人間に見えてきました。


神威さんはいまごろ何してるんでしょうか
そんなことを考えながら窓の外の暗闇に目を向けた。
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