【黒子のバスケ】人を外見で決めては絶対いけません!
第16章 下駄箱のおまじない
さて、何があったのか順を追って話そう。
まず、どうしてこう粋がった様な話し方をしているのか。それは昨日友達に勧められた推理小説を読んでいたからだ。私は少しばかり影響されやすい、なぜならば………おっと、どうでも良い話はここで終わりだ。戻ろう。
私はいつも通り、目覚ましで起き、電車に乗り、校門を通り、上履きを履いて教室へ向かうはずであった。
校門を通るまでは良かったのだ。順調に1日が進んでいた。
その1日が崩れたのは、昇降口で下駄箱を開けた瞬間であった。
なんと開けた箱から、ハート型の手紙が私の顔目掛けて襲いかかってきたのだ。
その手紙は吹雪の如く私の顔面に降りかかると、役目を終えた秋の葉のようにひらひらと床へと落ちていった。
なんだこれは。一体どういう事態だ。
何か恨みを買うような事をしたのだろうか。いや、それは見当もつかない。
その時、私の頭には1人の青年の顔が浮かんだ。
それは、酷く良心的に見える───
「ボクの事、呼びましたか?」
「ぎゃっ!?」
耳元で囁かれて思わず声が上がる。それは酷くか弱い声であった。
いつの間に彼は私の背後に回っていたのだろうか。まるで彼は───
「それ、やめてくれませんか。」
彼は此方を、なにか不気味なものを見たような表情で見つめる。はて、なんの事───
「その気持ち悪い頭の中の言葉遣いですよ。昨日、推理小説でも見てたんですか?言っておきますが、君のさっきの声、全然か弱くなかったですよ。寧ろ逞しかったじゃないですか。捏造しないでください。」
「……………ごめんなさい…」
黒子君はお気に召さなかったようだ。残念。