【黒子のバスケ】人を外見で決めては絶対いけません!
第2章 男は中身
声は路地裏から聞こえてきた。
虐め…だったら見過ごせない、助けなきゃ!
そう思ったのはいいものの、私は目の前の光景を前にして動けなくなってしまったのだ。
あれは、黒子君…?
黒子テツヤ君。
バスケ部所属。私と同学年でクラスは違えど、図書委員という点で少し関わりがある。
私が知る限り、彼は他人より影は薄いし、表情は乏しいし、少し背は低いけれど
誰よりも男らしくてかっこよくて優しい男の子の筈なのだ。
そんな人が、
目の前で邪悪な笑みを湛え、他校生を…土下座させている。
…一体何が…起こっているのだろうか…?
「いいですか?もうこんなことはしないで下さい。
周りに迷惑が掛かるんですよ。まあクズに言っても仕方ないとは思うんですけどね。」
黒子君(?)は冷たい目で土下座している人たちを見ながらそう言った。
男の人たちも必死で頷いている。心なしか目が潤んでいる気がするが…。
私は考えることを放棄し、踵を返した。
見てしまった事を素直に出て行って告白しようか迷ったが、
なんせ今日のは彼の沽券に関わる問題なわけで、私が首を突っ込んでいいわけがないのだ。
というかぶっちゃけ、この件に関して関わったら殺される気がする。
さっさと忘れていつも通りにするのが一番。
そう出来たら一番だったのに…。
「何処に行くつもりなんですか?」
私はあっさりと彼に、真っ黒子様に捕らえられてしまったのだった。