【黒子のバスケ】人を外見で決めては絶対いけません!
第8章 ようこそ誠凛高校男子バスケ部へ!
今日もいつも通りつまらない授業を受け、たわいもない話で昼休みに盛り上がり、あっという間に放課後になった。
今日は珍しく黒子君嫌な絡み方してこなかったな。いやあ、平和だった。いつも朝脅かしてきたり、授業中の居眠りを邪魔してきたり(これは私が悪いけど)、もっと酷いのは昼休み。黒子君は一口が小さいから良いんだけど、黒子君に便乗して一口が大きい火神君まで私の弁当摘み食いしてくるから1/3くらい持っていかれる。食べる事が好きな私にとっては死活問題だ。褒めてくれるのは結構嬉しいんだけど。黒子君って小食って聞くけど、私のお弁当だったら食べてくれるかな…………っていやいや、何考えてんだろ。こんな事言ったら絶対笑われる。
独りでに熱くなった頬をパタパタと手で扇ぐ。
そういえば、この前買った新作のリップ、すごい良かったなあ。
限定モノだし、もう一個買ってストックにしておこう。
そう決めて椅子から立ち上がった時だった。
「籠橋 玉実さんいるー?!」
元気でよく通る声が教室に響いた。
たしか、あの人は相田リコさんだったかな。
バスケ部のマネージャーと監督掛け持ちしてるんだっけ。って、あれ。今私の名前呼んだ?
バチリと相田リコさんと目が合う。
次の瞬間、彼女は物凄い勢いで走って目の前まで来た。
ブワッと風が遅れて来る。
「あなた籠橋さん!?」
すごい、すごい目力。
私何か気に触る様な事したっけ。えぇ、怖い。
半ば押されるように私は頭を縦に振った。
その刹那、
「確保!!!」
「了解!」
相田リコさんが合図をし、後ろから知らない男達(多分バスケ部部員)が出て来て、大きい物静かそうな人が私を横抱きした。
え?え?え?
ちょ、ちょっと待って、
「ど、どういうこ…」
「発進!」
「おー!」
「う、うわぁぁああ!!!」
お構い無しに、相田リコさんは「ピーッ」と笛を吹くと、それに呼応する様に横抱きした人が走り出す。
私は抵抗なんて出来ずに、その人にしがみつくのが精一杯だった────………。