第14章 その頃
「オハヨー オハヨー」
鳥がバサバサと鳴らす羽音と声で目が覚めた。
ゆっくりと身体を起こし、小さく伸びをする。
身体がだるい。頭は鉛になったみたいに重かった。
眠れば全てが夢で、いつもみたいに朝ごはんの匂いで起こされて。おはようって挨拶して。
それから、大学行きたくないな〜、何言ってんだよ俺の分まで勉学に励んでこい、なんて少し言い合いをして。
時間ギリギリになって、急いで玄関出て、バイバイ、行ってくるねって手を振るんだ。
そんな幻想は、目を覚ました時に打ち砕かれた。
しょうがなかったんだ。だって喰種捜査官に、もう追い詰められてたんだもの。きっとあの時逃げられても、きっと助かりっこなかった。これがサヤの運命…
"お前が殺した"
違う
"罪なんて無かったのに"
違うの、そんなつもりじゃ
"見殺しにした"
黙って
" お ま え の せ い だ "
「黙れ!!!!」
「ひゃっ」
「!」
私の他に誰かいたのか。
ハッとして周りを見渡すと、少し開いた扉から小さな女の子がこちらを見ていた。
確か、昨日既に寝ていた子だ。
「おはよう」
さっきの出来事が少し気まずかった為、自然とぎこちない笑顔になってしまう。
うーん、あまり気にしてないといいけど…。
女の子は暫く様子を見ていたが、やがて此方へ寄ってくると私の隣へちょこんと腰掛けた。
瞬間、ピリッと頭に電源が走る。
この子……喰種なんだ。
しかも、多分…強いんだと思う。
私には昔から直感でヒトか喰種かを感じ分ける力がある。特に、強い喰種に出会うとこうやって頭に電源が走ったような感覚を受けるのだ。
昨日も何度か体験したことを思うと、ここにいる喰種達は強者ばかりなんだろう。