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【東京喰種】chouchou

第13章 次の朝



───……………


「はい、どうぞ」
僕はまだ慣れない手捌きで淹れた珈琲を彼女の前に置いた。
彼女はティーカップの取っ手に手をつけると、こくりと音を鳴らし黒い液体を口にする。
「うん、美味しい。」
ふぅ、と息を漏らすと彼女はそう言った。
にこりと、力のない笑みを浮かべて。


────……………


どれくらい経っただろうか。
いや、若しかしたら5分くらいしか経ってないのかもしれない。
僕は彼女と何を話せばいいか分からなくて、下を向いてじっとしていた。
目線の先には彼女の膝に置いた手。
僕もそんなに大きな手ではないけど、彼女の手はとても、誰よりも小さく、見えた。


何か話さなきゃ、何か話題…と思考を巡らしていると
「ねえ、◯◯さんとお兄ちゃんは恋人?」
このヒナミちゃんの突然の質問で思考がショートした。
◯◯ちゃんも予想外の質問だったらしく、目をパチパチさせている。
「い、いや、ヒナミちゃん。僕達は友達だよ」
僕がそう言えばヒナミちゃんは残念そうな声を出し、一方彼女はホッとしたような表情を見せた。
少し残念だなと思った自分がいて、疑問に思う。
いや、まさか。支えてあげたいとは思ってるけど、そう言うのではない、絶対、きっと、……多分。


僕は僅かに開きかかった胸の扉を、そっと閉めた。


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