第10章 君の初めてはすべて僕のもの(R18)
「指一本触れないで」の刑の翌日は映画館デートした。
「明日も家においでよ」
って、紘夢には言われたんだけど。
なんか絶対エッチなことされそうだし…。
別に嫌なわけじゃないんだけどー。
なんか勢いだけで最後までいっちゃったら嫌だし…。
でも勢いがないと出来なそうだけど…。
うーん、わたし自分がどうしたいかよくわかんないっ。
…
映画館で予告が始まって暗くなったとき、手を握られた。
別にその日も、駅とかチケット並んでるときとか、たまに手は繋いでたんだけど、こういうのってなんかドキッとする。
紘夢も私の手を握ってにっこりと嬉しそうに笑ってくれた。
エッチしちゃっても、手を握っただけでこんなに嬉しそうに笑ってくれるかなぁ。
…
デートの帰り道。
今日も紘夢が家まで送ってくれる。
「来週は家に遊びに来てくれる?」
彼が私に尋ねる。
「うん。行く」
私は答える。
彼がふふっと嬉しそうに笑う。
私にはなんだかエッチなことを考えてるように見えちゃう。
私は彼の手を握ってみる。
彼は私の顔を見て優しく微笑む。
「紘夢、わたしと手を繋いで嬉しい?」
「嬉しいよ」
私の質問に彼は答える。
「エッチしちゃっても、手を繋いだだけで嬉しいと思ってくれる?」
「うん。嬉しいよ」
彼は当然のように答える。
経験もしてないこと、少しも考えずによく簡単に答えられるなぁ。適当に言ってるんじゃないの?
と私は言いがかりをつけたくなる。
でも、いま私と手を繋いでにこにこしてる彼の顔を見ると、私も嬉しくなる。
たぶん、ずっと。