第14章 黒い誘惑

「ほら、いつも通り。ふふ…ふふふ」

私の脚を撫でまわしながら、彼が見下ろす。

やっぱ気持ち悪い…。

「はぁー…なんかいい…」

私のふくらはぎを持ち上げて頬ずりする。

すっごく気持ち悪い！

「あの…」

「ん？ 何？」

「気持ち悪いんですけど」

「えっ何が？」

「紘夢が」

「えっ」

「もうイヤ。脱いだほうがマシ。脱ぐね」

私は自分でタイツに手をかける。

「わぁ待って！」

彼が私のその手を押さえる。

「何？」

「僕が！ 僕が脱がせてあげるから」

「……」

気持ち悪いけど、それぐらいはガマンするか…。

「結構きついんだね、これ。苦しくないの？」

彼がタイツをそっと下ろしながら尋ねる。

「別に…慣れたからかな？ 伸びるし」

「そうだね。去年も履いてたもんね」

ん…まぁいいや。気にしたら気持ち悪いし。

パンツが一緒にずり落ちそうになって、彼がちょっと上げてくれる。

優しいというか、気持ち悪いというか…。

膝のちょっと上まで下ろして、手が止まる。

彼はベッドに座り込んで、じっと私を見下ろす。

「あの…なんでそこで止まってるの？」

あんまり聞きたくないけど尋ねる。

「いい…すごくいい、この状態。写真撮っていい？」

「絶対ダメだから！」

「顔は写さないから」

「私だってバレバレでしょ！ 学校の人に見られたら！」

「だから…いつも言ってるけど、ナコの写真を他人に見られるとか、そんなヘマしない。絶対に大丈夫」

「絶対に、イヤ！」