第14章 黒い誘惑
「わぁ寒かったぁ」
ある冬の寒い放課後、私は紘夢の部屋に遊びにきた。
「あたためてあげる」
彼が私の身体をぎゅうーって包む。
「いやぁ冷たいぃ。上着が冷たいぃ」
彼の腕の中から逃げる。
「いや…なの?」
彼が傷付いた顔をする。
いちいち繊細なんだから…メンドクサイ。でも可愛い。
「上着が冷たいの! はい、脱いで脱いで」
私は彼の上着を脱がせる。
彼は少し嬉しそうに脱がされる。
「ナコも」
「うん」
私も彼に上着を脱がされる。
そして彼にぎゅうって抱きしめられる。
「あったかい?」
「うん、あったかい」
温かいというより嬉しい。
私も彼にぎゅっと抱きつく。
「エアコンつけるね」
彼は私を抱きしめたまま、ちょこちょこ移動してエアコンのスイッチをいれる。
そしてまた、そのまま移動してベッドに腰掛ける。
彼の顔を見て、少し微笑む。
今日はこれからどうするのかな…?