第5章 青い月。
それから、私たちは付き合いはじめた。
もちろん、アイドルだから
お互いにバレないように細心の注意を払った。
でも、来栖さんや四ノ宮さんや七海さんには
すぐにバレてしまった。
今は映画の関係で、
私達は一緒に過ごす時間が多い。
が、明日。
ついに映画の撮影が終了する。
最後に残ったシーンは
ラストシーンの満月の下でキスをするシーンだった。
思い出すと笑えてくる。
はじめてキスシーンを撮影した時の事。
今になって理解できる。
"僕達は逆だったら上手く行っていたかもしれないね。"
という言葉の意味。
すぅっと深呼吸をすると、
満月の写る湖畔へと足を運ぶ。
既に美風藍はスタンバイをしていた。
「よろしくお願いします。」
「うん。よろしく。」
柔らかく笑う美風藍。
ほっと心が和む。
この映画のキーにもなっている満月。
"Blue Moon"
それは約2年に1回しか見ることの出来ない、
青みががった満月の事である。
ロボットの少女は感情を持ってしまった事で、
欠陥品と見なされ、発明所に戻され、
データを消されてしまうことになった。
発明所に戻されてしまう
その前に、
ロボットの少女は
少年と約束をする。
2年後、
必ず二人で『青い月』を見よう…と。
それからロボットの少女は発明所へ
戻されてしまった。
それから2年。
少年は一人約束の場所へ足を運ぶ。