第1章 999回目の失敗。
「皆さん!今日は真城柚子のミニライブに来てくれてありがとうございます!」
私がマイク越しにそう喋れども
会場の盛り上がりは小さい。
「えっと…今日は新曲の…」
それでも笑顔で私はCDを手に声を出す。
「ねぇ、あれ誰?」
「さぁ、売れないアイドルだろ?」
「ふぅーん。可哀想だねぇー。」
何気ない一言が
胸にザクリザクリと刺さる。
今日のミニライブも結局、
途中でダンスを間違える始末。
アイドルとしてデビューしてから1年。
失敗続きである。
「柚子ちゃん。お疲れ様。」
マネージャーが私にタオルを渡してくれる。
「…あ…ありがとうございます。」
「大丈夫だよ。失敗は成功のもとなんだから!っね!柚子ちゃんはやれば出来る子なんだから!」
そう言ってマネージャーは私の背中を軽く叩く。
その言葉がまた胸にザクリと刺さる。
マネージャーの出て行った
楽屋でポツリと呟く。
「それじゃぁまるで…私がやってないみたいじゃないですか…。」
もう、私の心は折れそうだった。