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るろうに剣心【東京編】

第16章 るろうに剣心【東京編】 最終話




「錦絵?」

晴れた昼下がり、左之助さんはこの日も赤べこに来ていた
そして妙さんに頼みごとをされていた
今日、絵草紙屋に新しい絵が入るらしく、
人気絵師である月岡津南の絵はすぐに売り切れてしまうため、買ってきてほしいとのこと

「まぁ、いいか。しょっちゅうおごってもらっている事だしな。いいぜ、パシリぐれーはしてやるよ」
「今までの全部ツケですよ」
『ふふっ』
「何笑ってんでェ、真愛」
『何でもないです。いいから早く行ってください』

頭をわしゃわしゃされる
左之助さんは、いつも私にそれやるけどなんで?
ぐしゃぐしゃになった髪の毛を手櫛で直す

「つれねェな。一緒に行こうぜ」
『仕事中です』
「チェッ」

頭をポリポリ掻きながら彼は、店を出ようとする
いつまでたっても子供みたいな人だな
でも、憎めないのは彼の本当の優しさを知っているから

店を出ようとする左之助さんの背中に燕ちゃんが声をかけた
しかし、「なんでもない」と言葉を濁す

「言いたいことはハッキリ言った方がいいぜ。なぁ、小さい嬢ちゃん」
「……いえ」
「そうかい」

軽く息を吐いて、彼は背を向けた

「そんじゃ月岡津南の伊庭八(イバハチ)の絵〝2枚”でいいんだな」

ほら、優しい
私はふふっと笑った

「さすが左之さん。男が違うねェ」
「ホント。これで、支払さえちゃんとしてくれればねェ」

休憩がてらお茶を啜る私も、こくりとうなづく
できれば赤べこに来るんじゃなくて神谷道場に来てほしい
そうすれば妙さんにも迷惑掛からないし、ツケだって増えないし

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