第3章 戦利品にはそれなりの贈り物を
俺は全てを与えた。
絡繰りに費やす金をに与える贈り物に変えた。
なのには俺を受け入れなかった。
「…そろそろ俺の目を見て話してくれよ」
「誰があんたなんかの目を。鬼の目に興味などないわ」
見向きもしないに俺はだんだん憤りを感じてきた。
いや、正確にはにではなく、の視界に映るもの全てに憤りを感じている。
そこにある池にいる鯉、に見つめられて幸せそうに泳いでやがる。俺はその目に一度も見つめられたことがないってのに。
「アンタの興味をそそるモンってのは何だ」
「教える義理はないわよ」
素っ気なく俺の言葉を交わすが応答している、これは俺の言葉を、俺の声を聞いている証拠だ。
紛れもなく今の頭には俺がいるはずだ、そうでなければ会話なんて成立はしない。
「……帰りたいか?」
「えぇ、帰りたいわ」
そう言ってはいつも中国の方の海を眺めてやがる。
飯は最初こそ食わなかったもののやはり人間だ、食欲には負けたのだろう。最近はおとなしく食べている。
そんな時でもずっと、ずっと海を見ている。俺の方を見ない。
初めて海がうっとおしいと感じた。
「たまには外に出るか?丁度鶴の字に届けもんがあってな」
っていうのは嘘だ。確かに鶴の字の領地には入るがただの連れ出すためだけの口実。
するとは俯いていた頭を少し上げて
「…鶴姫さんの所なら」
一言だけ呟いた。
俺はこの言葉にどれだけうれしさを感じたか、俺の提案をずっと無視し続けたが初めて頷いた日だった。
俺はこの日を絶対に忘れないだろう。