第2章 戦利品は敵国の宝
城に帰った俺はすぐに女を座敷牢に連れ込んだ。
此処には何も罪を犯していない女が入るようなところじゃないから俺の正室や側室になった奴らを一度も入れたことはない。
この女も罪は犯していないが暴れられたら面倒だ。両手首に枷をつけ、足も動けないように固定をする。
「…名を教えろ」
「……あんたに名乗る名など持ってない」
「オイオイ、俺を誰だと思ってんだ」
「長曾我部元親、西海の鬼、つい最近中国を制圧した軍を率いている人。」
そう言い終われば女は俯いてしまった。
「俺の事はそんなに知ってんなら名前、教えろ」
「…」
「聞いてんのか?」
仕方なく頑なに外すことを拒んだ笠を取り上げ、女の髪の毛を掴んで上を向かせる。
「……アンタ…」
「何よ、幻滅した?だったら早く帰して頂戴ッ」
その女はこの世で見たことがないくらい透き通った目をした娘だった。
それだけじゃねェ、整った目鼻立ち、凛とした声、艶やかな髪、俺はこんな美しい女を見たことがなかった。どんな正室にも側室にも負けない、いや、寧ろ何も劣っていない女。
そしてコイツは俺が最も近づくことはできなかったであろう女だ。
「…何か言いなさい、ねぇ、聞いてるのでしょう?」
「…毛利の、嫁か」
「わかったのならば帰して、お前の望むことは何一つ私はやらないのは分かるでしょう」
コイツは、俺が絶対に手に入れることの叶わない筈の宝だ。しかも毛利の。
手放すわけにはいかない、こんな美人を野放しになんざ俺はできない。
「…喜べ、アンタは今日から俺の側室だ」