• テキストサイズ

【黒バス】透明な君に恋してる

第11章 気まぐれと笑って



「おい、お前達煩いぞ。もう消灯時間だ、寝るんだぞ。次煩くしたら……わかっているね?」


 征十郎だ! なかなか立ち去る音はしない。息を潜め、徐に黄瀬と目が合う。そういえば、黄瀬ってモデルなんだよね……綺麗な顔してるかも、こうしてじっくりと眺めると。ふと、黄瀬が柔らかく微笑んだ。

 ぎょっとして、不覚にもどきどきした。今更気付いても遅いけれど。


「はぁ……静かにな」


 その一言だけを残し、征十郎は部屋を今度こそ出て行った。

 魔王がいなくなった部屋、しかし誰一人動き出そうとも声を出そうともしない。それは私達も同じで、黄瀬が私の身体を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


「き、黄瀬……っ」

「やっと、こうして近くに有栖っちを感じられた」

「何変なこと言ってんの……」

「有栖っちはね、俺にとって特別なんスよ」

「どうして?」

「だって……有栖っちは俺を、モデルの黄瀬涼太としてじゃなくて、何でもないただの黄瀬涼太として接してくれるから」

「それは当たり前のことじゃないの?」


 何をしていたって、黄瀬が黄瀬であるに変わりはないのに。モデルだろうとバスケ部だろうとなんだろうと、彼が黄瀬涼太であることは変わらない。けれど、周りは違うというの?


「ううん、当たり前じゃないんスよ。俺の周りにいる女の子達っていうのは。だから、俺は有栖っちに近づきたくて仕方なくなる」


 黄瀬がさりげなく私の頬にキスを落とした。一点に熱が集中して、慌てて頬を押さえれば彼はくすくすと笑うばかり。何がおかしいのさ、本当に。私は、ただびっくりして焦って……。

/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp