第1章 タイムスリップ
外の空気を吸いに河原までやってきた。
家を出たときに見慣れない景色を見て、
ああ、本当に戦国時代に来ちゃったんだな。
と思った。
近所の家の光や街灯のない暗い夜は
いつもの生活と比べたら見慣れないもので、
そのひとつひとつが私を不安にさせる。
河原に腰を落とし空を見上げると、
まさに満天の星空が広がっていた。
現代ではほとんど見られない天の川もはっきりと見える。
「きれいだなあ…」
思わずぼそっとつぶやいてしまうくらいにほんとうにきれいだった。
足音がしたので振り返ってみると、そこには犬夜叉がいた。
「…星、本当にきれいだね~。私こんなに綺麗な星空見たの、生まれて初めてだよ。空気もおいしいし、自然が豊かで素敵なところだね。あ、そういえば今日七夕だね!知ってた?七夕の夜に彦星様と織姫様が会うことを星合っていうんだよ。ふたりともちゃんと会えたかなあ~?」
なんとなく沈黙が気まずくて一気にしゃべってしまった。
最後の方は微笑気味に。
…涙を隠すために。
なんだ、涙なんてもう枯れたと思ってたのに。
お父さん、お母さん…私これからどうしたらいいの…
犬夜叉は私の横に来て何かを落として、楓おばあちゃんの家に帰って行った。
横をふと見ると、ハンカチが落ちていた。
かごめちゃんのかな…
今は、今は犬夜叉の行為に甘えさせて…