第2章 流れ星に願いを
すると急に嫌な気配がした。
家で吸い込まれる壁を見つけた時よりももっと嫌な感じ。
私がその方向を向くのと、犬夜叉がその方向を向くのはほぼ同じタイミングだった。
「何、この嫌な感じ…」
「…奈落だ。」
厚い雲が一瞬にして空を覆い、
犬夜叉の前に奈落、という妖怪が現れた。
「ほう、犬夜叉。また人間の娘とつるんでいるのか。」
「うるせぇ今日こそ叩き切ってやる!下がってろ、李衣
!」
そういって二人は戦い始めた。
犬夜叉が腰から出したボロ刀は大きく変化し、
奈落を切りつける。
しかしどんなに砕かれても奈落は元の形に戻る。
奈落は倒すのが困難な敵だと昨日かごめから聞いてはいたが、
こんなの倒しようがないじゃない…!
どうしたら…私に何かできることは…
何もできずに見ているなんて嫌だ…!
すると奈落は一瞬にして姿を消した。
「まだ気配は消えてない、気を付けて犬夜叉!」
「気を付けるのはお前だ、李衣」
「えっ…」
気づくのが遅れた
次の瞬間には私は奈落の触手に捕えられ、身動きが取れなくなっていた。
外の騒ぎに気付いたかごめと楓が出てきたが、
李衣が囮となっている以上、下手に攻撃はできない。
「くっ、どうしたら…」
犬夜叉は下唇を噛みしめる。
奈落は思惑通りだと言わんばかりに高笑いをあげている。
昨日足を引っ張りたくないって、頑張ろうって決意したのに、
いきなり足引っ張るなんて嫌だ
何か策はないのか…
奈落は李衣を掴む触手を自分の方に寄せていく。
何をするつもりなのか、
嫌だ、嫌…
「嫌ーーーーーっ!」
とっさにかざした右手から、
まぶしく清らかな光が発せられた。
それと同時に奈落の体がぼろぼろと消えていく。
「お…おのれ…」
そういった奈落の気配はもう近くには感じられなかった。