第7章 幼馴染と同郷組 by,幼馴染
丸テーブルを四人で囲み、中央に一山のカードが置かれる。
位置関係は正面に仕切り役の黒髪短髪の兵士。
俺から見て右手に大柄で目付きの悪い兵士。
左には背の低い兵士の三人だ。
三人とも手元に飲み掛けのワインやエールの入ったボトルが置かれている。
特に目付きの悪い兵士の足元にはエールのボトルが2、3本転がっている。かなり飲んでいるようだ。
「で、アイトさんはなにを賭けます? あぁ、いや。無理にとは言いませんが…ねぇ?」
短髪の兵士が小物を見るような目で、そして安い挑発を俺に飛ばしてくる。
「流石に内地の憲兵様はこんな俺達雑兵みたいな低レートな賭けには乗れませんよねぇ」
挑発に乗る気はないが、此処で上手くやればこいつ等使えるかも知れない。
アイト「…じゃあ、お前等が勝ったらお前等3人をそんな憧れの内地の支部へ移動させてやるよ。以下三名功績優秀とし内地への異動を推薦する。ってな」
それだけの力が俺にあるかは分からない。後ろ盾もあるわけじゃない。
団長と言っても所詮は不正規の兵団だ。通常の団長より格は明らかに下だろう。良くて分隊長位の地位のはず。
ましてや犯罪者扱いだしなぁ…。
「…その話、本当ですね?」
黒髪の兵士の目付きが変わった…。
いや、三人とも目付きが変わった。
アイト「あぁ。3対1。誰か1人でも俺より強い役を作ったら勝ちでいいよ。上層に都合の良い事書いてやる。」
「後で出来ませんでしたじゃ済ませませんよ?」
「確実に俺達じゃないと…。」
さっきまでエールをガッツリ飲んで目が据わりかけていた目付きの悪い兵士も問いかける。
それに乗っかり、最終確認も含めて背の低い兵士が念を押す形で聞いてくる。
「で、それに対して俺らが賭ける物は何だったら釣り合います?」
それに対する答えはもう決まっている。
アイト「こっちが買ったら三人とも明日から俺の下で働いてもらう」
3人はもっと凄い対価が来ると思っていたのか、俺の提案に鼻で笑い、その程度でいいのか? と言わんばかりにやりとすると快く了承してくれた。
「じゃ、俺が親で行きます。1回勝負。後で言ってないというのは無しですよ?」
3人は何やら既に買った気でいるみたいだ。大方イカサマをしてでも勝ちに来るんだろう。