第1章 明晰夢
部屋の茶器を一階のキッチンまで持って行き洗い終え、風呂に入って再び二階に戻った。
リビングで洗い物をしている時、母が凄い真剣に資料と向き合っていた。
何時もあれくらい本気出せば良いのに。
部屋に戻り、俺はデスクトップPCが置かれるデスクに付いた。
そう言えば、莉那の言っていた進撃の巨人…今は何処まで進んでいるのか。
俺が見た時は確か4巻までだった。うる覚えだが主人公の『エレン・イェーガー』が巨人化出来る事が分かったあたりじゃなかったか?
…いや、絶対調べたらいけない。今の時間に見たら確実にこの世界の夢を見る。
そう思ってはいるものの、やはり人間の探究心はそう消せないものでして。
……………
…………
………
内容は調べてないが、取り敢えずアニメがあっているのともう10巻まで出ているのは分かった。
………これは確実に今日この世界の夢見るな…。どうせだったら主人公達と同じ兵団に入りてぇな…。
立体起動だったか? 理論は分かる。きっと面白いだろうな。
あの世界で命がけなのに面白いって言い方もちょっとおかしいか…
駄目だ。今日絶対見る夢決まった。
「…寝よう」
明日は休日。多少の夜更かしは問題ないのだが、何かもう起きている理由もない。
ならゆっくり寝よう。
もう今日見る夢は決まったようなもんだ。だったら一層のこと諦めてどっぷりハマってやろうじゃねぇか…。
希望としては同期が良いな。うん、読んでいた頃に凄い天使みたいなキャラがいた。あの子に会いたい。
PCの電源を落としてベッドに入り、電気を消してその日見るであろう世界にちょっとした期待を寄せながら、静かに眠った。
(間違っても巨人にはならないでくれよ…)