第2章 幕開け
アイリス「アイトさんこそどうなんですか? 憲兵15名殺しなんて極刑ものなのに」
スッとキッチンから顔を覗かせたアイリスが聞いてきた。
アイト「戦力的に使えると判断したんじゃね?」
そのままキッチンから出て来たアイリスは納得したのかしてないのか、ふぅんとだけ返した。
アイリス「ま、なんにせよ命拾いしましたし、何気に憲兵より給金良いし良いじゃないですか。私達が前科持ちなの知ってるのは憲兵団でも一部の人間だけですしね。元部下とか」
再びソファに座り、背伸びをするアイリス。
大きく背伸びをしながらうーん、と声を漏らす。
なんと言うか…強いな。こんな環境に落とされたのに。
ただの馬鹿か、それとも…
アイリス「っていうかアイトさん少し仮眠したらどうです? 夜間出勤でお疲れでしょうし」
初めてまともな理由で心配された。
一応夢の中だから眠くはないのだが…、此処は厚意に甘えるとするか。
アイト「じゃあ、少し仮眠するわ。何かあったら起こして」
アイリス「アイサー団ty…アイトさん」
横から聞こえる言い直す声を聞きつつ、寝室に入った。
入る直前、横から、
「セフセフ…」
という安堵の声が聞こえたが、どちらかと言えばセウトです
。
寝室に入り、改めて自分の身体を見る。
服こそ帰って来て直ぐ着替えをもらい、今は真っ白なシャツだ。
手もがっつり洗って今では返り血一つ付いてない。
だが、あまりにリアルすぎて目に焼きついている。
過去にも明晰夢内で人を殺した事はある。だが、あの時とは全く違う。
夢とはいえ生々しすぎる映像。そしてあの嗚咽感。
二次元の夢が久々なせいかな…。
とにかく、一度寝よう。
そしたら何時も通り現実に戻れる。
そうそう。明晰夢から覚めるのに必要なの物。
それは『衝撃』
夢の中で死にそうになった次の瞬間目が覚めたりする、あんな感じだ。
若しくは夢と自覚して動揺した瞬間。
俺の場合、最初から夢と分かって見ているから前者でしか目覚められないのが難点である…。
だから此処で与える衝撃は、睡眠。
死に際ほどの衝撃では無いが、オレは毎回これで現実世界へ引き戻されている。
本当に幸か不幸か悩まされる体質だ。