第10章 2=1+1=2
デスクワークというのは中々に大変なものだ。
体を動かすことに比べたらあまり動かないから楽かもしれないが、それでもその日に処理する書類の山を見ると疲れが増す。
執務室の出窓からは朝日が射し込み、室内を明るく照らす。
日が落ちるまでは明かりを灯す必要もなさそうだ。
室内最奥、出窓の前には執務室長・・・今は外出しているアイトが本来使う机。
その前には室長程ではないがそれでも質感ある机が四つ。
内三つを使っていた憲兵は本日開拓地へ見回りに行っている。
彼等はデスクワーク〈視察労働を撰んだのだ。ちゃんと成果報告しなかった場合、書類の山が待っている旨を伝えたら意気揚々と馬に乗って開拓地に向かっていた。
私はもう慣れたが、どうやら凡人にこの書類量は堪えるようだ。これは良い事を知った。
アイトと別れて戻ってきた私の今日の仕事は支部長へ昨日の編成表の提出。それから難民の開拓地行きの区分表作り。
こちらに来てから憲兵らしい仕事ばかりしている。
やっぱり死体処理なんかよりこっちの仕事がいいよ・・・。