第10章 2=1+1=2
アイト「へぇ・・・。そんな事がねぇ」
リック「別に珍しくない。ウェンに関しては頻繁」
人の往来が盛んに行われる広場前のカフェでリックとお茶を嗜みつつリックの兄であるウェンの話を聞いていた。
リック「引かない?」
そこまで言っておいて今更何を言うんだか・・・。
アイト「まぁ・・・オレの周りにそういう人は居なかったから少し驚いたけど、オレの事を信頼してくれてるから打ち明けたんだろ」
リック「・・・・・・」
リックは黙って頷いた。
手元のカップを口に運んで一息置いて、続けた。
アイト「そもそもそれが理由で避けようとは思わない。リックにはそれでオレが引くと思ったのか?」
リック「・・・・・・」
リックは黙って首を振る。
どうもこの子も似たような感じなのだろうか。話すときと寡黙なときは正に別人だ。
リック「・・・打ち明けるのが恐かった。それで関係が変わってしまわないか・・・・・・」
とうやら信頼の中にも多少の不安はあったようだ。
似たような・・・彼女達から見れば小さいものかもしれないが、似たような場面はオレも遭遇した。
信頼していた友への告白。
恋愛的要素ではない。秘密にしていた自身の告白。
それで人間関係が崩壊してしまうかもしれない。
それは例え信頼する友達でさえ勇気のいることだ。
彼女はその勇気を持ち、オレに打ち明けた。
なら、オレもそれに答える必要がある。
アイト「安心しろ。訓練兵団卒業後もオレはリック達を避けたりしない」