第8章 残業手当
憲兵団支部の借りた執務室に行くとそこにはただの屍の様だと言いたくなる位ぐったりしている三人と書類を整理しているリックがいた。
リック「おかえりなさい」
アイト「ただいま。で、これなに?」
椅子に座って机に崩れて寝ている三人の無惨な姿を指さしてリックに聞いた。
リック「普段から業務を怠ったツケを払った結果。何とか払い終わらせたけど」
アイト「見た目によらず結構サディストだな」
リック「っ・・・!」
それぞれの部屋に帰らせる為に三人を叩き起こし、明日もよろしくという彼らにとっては悲痛な言葉を与えて部屋に返した。
リック「・・・そっちは?」
アイト「んー? あぁ。何とか進んでる。開拓地行くまでは何とかなりそう」
リック「そう・・・。信頼されそう?」
それまた難しい質問だ。課題でもあるが・・・。
アイト「現状では難しいな。それこそ今まで貯めてきた憲兵団のツケを払いきらないと」
リック「はやいところ清算し終えないとね」
アイト「あぁ・・・、治安維持の件は?」
先程までただの屍()が座っていた席に座って机の上の書類に目を通しながら聞いた。
リック「編成し終えた。今日から夜勤組も増やした」
リックの話によれば避難民の方に付いている駐屯兵とは別で憲兵団の行う治安維持活動を押しつけられている駐屯兵もいるらしい。
道理で避難所の駐屯兵が思ったより少ないわけだ。
そこで、その治安維持活動を行っている駐屯兵の班に班長として憲兵団の兵士を班に構成していった。つまり、駐屯兵と憲兵団による班編成で治安維持活動を行わせているようだ。
アイト「だが、それでも憲兵はサボるんじゃないか?」
今の憲兵なら仕事を全部班員に押し付けてサボるのは目に見えている。
そんなんで大丈夫か?
リック「大丈夫。班員には班長が職務上怠慢を行ったと判断した場合こちらに連絡するよう通達してある」
アイト「通達してどうする?」
リック「その通達が判断した上で処理する」
アイト「処理って?」
リックは机の上の書類をトントンと机に叩いて綺麗にすると風で飛ばないように重石を乗せて机の端に置き、淡々と答えた。
リック「場合によっては開拓地に1人生産者が増えて憲兵団の席が一席空くだけ」