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〜Mint Candy Story〜

第45章 -合鍵-(宮地清志)


ご飯を作っておく…とは言ったけど、
宮地さんちにエプロンは置いてなかったので、
ちょっと大きいけど、
宮地さんのエプロンを借りて
夕食の準備を始めた。


軽めに食べられるものを
何品か作っていると、
思いの外早く鍵の開く音がした。


「おかえりなさーい♪」


「…っ⁈」


エプロンをしたまま宮地さんを出迎えると、
宮地さんは”ただいま”と言う前に、
わたしの頭を軽く小突いた。


「いた〜っ‼︎もう‼︎なんでですか〜?」


「ウチで1人の時は
チェーンしとけっつっただろ⁈轢くぞ‼︎」


「…どうやって?」


付き合うようになって、
最近やっと宮地さんに
こう聞き返せるようになった。


「…‼︎ったく。口が減らねぇな。」


「うわっ…ちょっ…」


宮地さんは言い返せなくて?
わたしの頭をグシャグシャッとしてくる。


これがいつものやりとりだった。


わたしはその時間も好き。


「仕事、大丈夫だったんですか?」


「あぁ。」


ネクタイを緩めながらこたえる宮地さんに
不覚にもドキッとしてしまい、
わたしは思わず目をそらした。


「おい!なんで目そらすんだよ?」


「えっ⁈あ…そ…そらしてないですよ!
宮地さん、おなかすいてます?
わたし、色々……⁈」


ドキッとしてたなんて恥ずかしくて言えなくて、
今度は話もそらすと、
突然宮地さんに後ろから抱き締められた。


「宮地さん…?あの…」


どうしようっ…めちゃくちゃ嬉しいけど、
ドキドキして何も言えないよ…


わたしが1人テンパっていると、
宮地さんは腕にさらに力を込めて、
わたしを抱き締めていた。


「まだ…オレが怖いのか…?」


「え…?」


宮地さんのことばに、
わたしは顔だけ振り向いて、
宮地さんを見上げた。


「怖いわけないじゃないですか!
なんでそんな…きゃっ…」


「こっち向くな‼︎
あいつとは…楽しそうに喋りやがって…」


宮地さんはわたしの顔を押し戻しながら、
小さな声で言った。


「あいつって…?」


わたしは仕方なく前を向いたまま聞き返した。


「それは…その…
氷室…だよっ…ぁぁっ‼︎もう‼︎埋めんぞ‼︎」


「氷室さん??え…?
なんでそれで埋めるんですか〜?」


わたしは思わず宮地さんの腕の中から出て、
宮地さんと向き合った。


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