第44章 -紹介-(黄瀬/宮地)
「〜〜〜〜〜〜っ‼︎黄瀬くんのバカ‼︎
…乾杯っ‼︎」
わたしは恥ずかしすぎて、
ムリヤリ黄瀬くんのグラスにコツンとして、
グイッとお酒を飲んだ。
「ちぇ〜っ。
ま、乾杯してくれただけいっスね♪」
それからは、お酒も入ったこともあり、
気がついたら、食事の間、
黄瀬くんとの会話がとても弾んでいた。
でも、お酒だけのせいじゃない。
会社で会う時は仕事が忙しかったし、
あまり黄瀬くん自身を見ていなかった。
生意気な後輩だし。
でも、黄瀬くんは、
女性を楽しませるのがうまいというか、
一緒にいる人を飽きさせない。
「うわっ‼︎これ、めっちゃ美味いっスね!
すみれも取ったっスか⁈」
無邪気に笑う嬉しそうな黄瀬くん…
「すみれ〜‼︎
オレ、これあんま好きじゃないっス!」
かと思ったら、
今度は子どものように拗ねる黄瀬くん…
「すみれ‼︎こっちも美味しいっス‼︎
はい!あーん…」
「…しません‼︎」
この時点で、”すみれ”と呼ばれることを
否定することを諦めた。
「オレの高校の先輩で、バスケ部の主将で…
あ!森山先輩の同級生なんスけどね!
笠松先輩!オレ、めっちゃ尊敬してるんス‼︎」
「そうなんだ。森山さんは?」
「…っ‼︎あ…えっと…
森山さんは、いい先輩っスけど、
女の子大好きすぎるっていうか〜
その…まぁ…うーん…尊敬してるっス!」
「なにそれ?あはは‼︎
黄瀬くん、おっかし〜(笑)♪」
「すみれ…?」
黄瀬くんの話し方が面白すぎて、
なんだかツボにハマってしまって、
わたしは大笑いしてしまった。
「…‼︎すみれ、可愛い♪」
「えっ⁈」
突然の黄瀬くんのことばに
わたしはやっと笑うのをやめ、
思わず固まってしまう。
「可愛いっス♪
ねぇ、ほんとに好みのタイプは、
”年上の”イケメンなんスか?」
「な…何?急に…」
「すみれをフッた元彼も、
”年上の”イケメンだったって、
あやめさんから聞いたっス!」
「…っ‼︎」
黄瀬くんのことばで現実を思い出す。
フラれた時のこと…
今でも鮮明に覚えている…
「…‼︎すみれ‼︎」
「…?」