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〜Mint Candy Story〜

第43章 -花園-(赤司征十郎)


入学式翌日ということもあり、
今日は午前中だけで終了だった。


わたしはとにかく落ち着きたくて、
いったん学校から離れたくて、
すぐに教室を出た。





「そんなに急いでドコへ行くんだい?」





…っ⁈



「あ…えっ…⁈」


教室のドアをガラッと開けると、
目の前に…彼がいた。


「「きゃー♡」」


クラスの女のコたちの
黄色い声が響き、
わたしはまた少しだけ
ムッとしてしまう。


「ひどいな。
婚約者の顔も忘れたのかい?」



「「えぇっ⁈」」


今度は女のコたちの驚きの悲鳴…


「あ…あの!ちょっと!いきなり‼︎」


わたしはいきなり
教室の前で言われて恥ずかしくて、
彼の手を取り、教室を離れた。


でも、まだほとんど
校内を知らないわたしが
行けるところなんてなかった。


「ふふ…あっちに行こうか。
いい場所がある。」


わたしの気持ちを察したのか、
彼はそのままわたしの手を引き、
別館のほうへとわたしを連れて行く。


「うわぁ…」


彼が連れてきてくれたのは、
別館の裏にある小さな庭園だった。


あの時のホテルの中庭の
秘密の花園のようだった。


綺麗な春の花が
色とりどりに咲いている。


「ここなら誰も来ない。
ゆっくり話せるだろう?」


「花を背にしても…
貴方は絵になりますね。」


言いたいことは
たくさんあったはずなのに、
ついそんなことを言ってしまう。


「そうかな?
それならすみれのほうが
この場所がよく似合っている。
もちろん、この間の
中庭にいるすみれも
ステキだったけどね。」



………っ。



彼のストレートなことばに、
わたしは思わず赤くなってしまう。


「あ…あの‼︎」


「なんだい?」


「あの…婚約者って…本当に?」


1番の疑問を彼に投げかける。


「あぁ。」


「な…なんでですか⁈」


「なんでって…。」


彼はゆっくりわたしに近づき、
わたしの頬に触れた。


あの時のように優しく…。


「なんでだろうな?」


「な…⁉︎ひどい‼︎」


彼のことばに思わずプゥッと
拗ねてしまう。


「ふふ…一目惚れ…と言ったら、
すみれは信じてくれるかい?」


「え…⁈」


予想外の彼のことばに、
わたしはポカンとしてしまう。


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