• テキストサイズ

〜Mint Candy Story〜

第43章 -花園-(赤司征十郎)


「そんなに肌を露わにしている
ドレス姿のキミよりは
オレのほうがよっぽど暖かいから、
気にすることはないよ。」


「…っ⁉︎」


肌のことを言われ、
思わず彼の掛けてくれた
コートをギュッとして、
わたしは胸元を隠した。


「ふふ…寒いから仕方ないが、
隠してしまうのはもったいないな。
よく似合っているのに…」


さっきの冷たい声とは
別人のような温かい優しい声…


どれがほんとの貴方なの…?


「に…似合ってなんか‼︎」


そんな彼に惑わされ、
わたしは思わず虚勢を張る。


「そうかな?
色白のキミの肌に
その明るいオレンジピンクは
よく映える。」


彼はそう言うと、
突然わたしに近づいてきて、
わたしの頬に触れ、
ゆっくりその手を首筋へ滑らした。


「ぁっ…やっ…‼︎な…何して…⁈」


わたしは慌てて彼から離れ、
胸元をギュッと抑えて彼を睨む。


でも、彼にはまったく効果がなく、
彼はクスクス笑っているだけだった。


「ふふ…すまない。
でも、さっきの笑顔より、
そっちの睨んでいる顔のほうが
よっぽど素敵だな。
オレはそっちのほうが好みかな。」


「な…っ⁈」


これは俗に言う
殺し文句とか言うやつだろうか?


「そうやっていつも
女性を口説いているんですか?
まぁ…貴方なら…
そんなことばのひとつやふたつ言えば、
どんな女性でも
簡単に落とせるんでしょうけど…」


言われ慣れないことばかり
言われてしまい、
固まってばかりだったが、
わたしは思わず言い返してしまう。


「…っ⁈ふふっ…あははっ‼︎
キミは面白いな。思った通りだ…!」



…?



てっきりプライドの高い
どこかのお坊ちゃんは
わたしのことばに
キレてしまうと思っていたのに、
彼は大声で笑い出した。


最初に会った時の笑顔…
一瞬の冷たい声…
さっきの優しい声に
今目の前で大笑いしている彼…



また新しい一面…



どれが本当の貴方なの…?



「オレに堂々と
そんなことを言ってきたのは、
キミが初めてだよ。」


笑いがおさまった彼が面白そうに言う。



あ…!
そういえば、この人、
どこかのお坊ちゃんていうか、
なんかすごい家の人だったっけ…⁈


先ほどの婚約者の様子を思い出す。


さすがにまずかったかしら…


「すみません…」

/ 550ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp