• テキストサイズ

〜Mint Candy Story〜

第43章 -花園-(赤司征十郎)


「転入生の檜原すみれさんだ。」


入学式の翌日の転入生に、
案の定教室はざわついている。


せめてもう1日早く
動いてくれればいいのに。


赤司征十郎のバカ…。


そんな心の中など絶対表に出さず、
わたしは会釈をしてから、
指定された席についた。


入学式の翌日だし、
まだ出席番号順のままなのだろう。
席は空いていた窓際の1番後ろだった。


休み時間になると、
隣の席の女のコに話し掛けられる。


「檜原さん、
なんで今日転入だったの?」


ごもっともな質問…。
わたしも知りたい。


赤司征十郎のバカ…。


覚える気はサラサラなかったのに、
この人のフルネーム、
昨日から何回、
頭の中で唱えただろう。


でも、”アカシ”ってどこかで…


「親の仕事の都合で、
転入手続き間に合わなくて…。」


まぁ…ウソではない。


「そっかぁ。
でも、わたしたちも昨日
入学式したばっかりだし、
気にするコトないよ。
あ、わたし、平岡あやめ。
よろしくね。」


ニコッと微笑んで
言ってくれる平岡さんのことばに
なんだかとても癒された。


「ありがとう。」


「「きゃーーっ♡」」
「「バスケ部だぁ♡実渕さんっ♡」」



え…?な…に⁈


クラスの女のコたちが、
一気に窓際に押し寄せてくる。


「すごーい!
バスケ部、初めて見たー!」


平岡さんも知っているみたいで、
窓の外を眺めていた。


「「赤司様ー♡」」



…っ⁈アカシ⁈
今、誰かアカシって…



「ねぇ…あの…有名なの?」


「え⁈知らないの⁈
ウチのバスケ部、
全国大会優勝してるんだよ。
しかも、主将は去年1年だった赤司様!
イケメンだって噂だったけど、
ほんとにイケメンなんだねー。
ほら、あの前歩いてる人が、
たぶん赤司様だよ。」


皆が目をハートにして見ている
”アカシサマ”が、
あの…赤司征十郎なのだろうか?


まさか…ね。


平岡さんが指を指す人物を
わたしも目で追った。


…⁈あの人…‼︎


「ねぇ、そのアカシサマの
フルネーム…知ってる?」


わたしは恐る恐る平岡さんに尋ねた。


「うん。赤司征十郎だよ。」


…!そうだ!あの人の名前…!
アカシケの…!




/ 550ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp