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〜Mint Candy Story〜

第43章 -花園-(赤司征十郎)


お華にお琴…お料理教室…
なんでも言うことは聞く。
結婚相手だって。


ピアノさえ…
好きにやらせてもらえるなら。


だから、高校を卒業するまでは、
成績さえ落とさなければ、
品行方正でさえいれば、
文句は言わない…というのが、
親とわたしの取り決めだった。


その代わり…


高校を卒業したら、
親の決めた相手と結婚する。


いわゆる政略結婚。


今時珍しいとも思うけど、
そんなのもうどうでもいい。


檜原の家に生まれた時点で、
夢とか恋愛とか
そういったものは
人生から除外されていた。


ひねくれ過ぎ…
そう思うけど、そう思わないと
やっていけなかった。


結婚相手とは何度か顔を合わせたきり。
結婚するのは高校卒業後だから、
今は会う必要ない。


でも、高校の入学と同時に、
親の口から出たことばは
意外なものだった。


「すみれ…おまえの結婚相手だが…
伊集院家の長男の明さんと決まっていたが、急遽相手が変わった。」


「え…?」


覚える気はなくても、
散々聞かされてきた伊集院の名前…
たしかなんかの流派の家元だ…
政界にも顔が広いとか…


その伊集院家との縁談を破棄⁈


「こちらとしては
願ってもないお相手でね、
あちらから是非にと
仰ってくださっていて、
伊集院様もそのお方なら…と、
身を引いてくださったのよ。」


父に続き、母までそんなことを言う。


伊集院家より力のある家系…


わたしには想像がつかない。


でも、元々名前しか知らなかった人…
別に相手が変わったって、
わたしには影響ない。


「わかりました。
話はそれだけですか?」


「待て!話はこれからだ。」


わたしが席を立とうとすると、
父は慌ててわたしを引き止めた。


「大丈夫ですよ。
その方とちゃんと結婚します。
でも、それは高校卒業後ですよね?」


まだ高校に入学したばかり…
あと3年あるではないか…


「あぁ。結婚は卒業後だ。
だが、彼は京都の高校に行っていてな。」


「それが何か…?」


「先程転入手続きを済ませた。
おまえは明日から京都の
洛山高校に行きなさい。」


「な…⁈」


「くれぐれも彼の機嫌を損ねるな。
おまえの相手はあの赤司家の一人息子、
征十郎さんだ。」



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