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〜Mint Candy Story〜

第42章 -電車-(青峰大輝)[後編]


「だって、急に体育館に来て、
こんなトコロに連れてきて…
何か話とかあったんじゃないの?」


きっと何か理由があるんだ…。


本当はあんなふうに
連れ出してくれて、
すごくドキドキして嬉しかった。


今日青峰くんに会えたらって、
本当はすごく期待してた。



なのに、なんとも
思ってないように聞いてしまう。




「すみれ…」


「(ドキッ…)なぁに?」


青峰くんに名前を呼ばれ、
ドキッとしてしまう。


「おまえ、バスケ好きか?」


「…っ⁈」


突然の青峰くんの質問…。


「…青峰くんは?」


青峰くんの質問に
答えられなかったわたしは
同じ質問を青峰くんに投げた。


「…⁈オレは…」




……っ⁈





青峰くんは辛そうに
わたしから
目を背けたかと思ったら、
突然わたしの肩を掴み、
わたしの肩に頭を乗せてきた。


「あ…おみね…くん?」


青峰くんは何も言わない。
顔もあげない。
でも、わたしの肩を掴む力が
どんどん強くなっていく。


まるでわたしに
何かを伝えるかのように…。


「青峰くん…」


わたしは青峰くんの
背中に手をまわし、
そのままゆっくり背中を撫でた。


青峰くんは何も言わない。


でも、なんとなく青峰くんの
言いたいコトがわかる気がした。



わたしと同じ…。


わたしと青峰くんは、
どこか似ている。


「青峰くんはすごいよ。」


「…っ⁈」


青峰くんの背中を撫でながら、
わたしはことばを続けた。


「だってバスケから
逃げてないでしょ?
わたしは逃げちゃった…」


「別に…」


…⁈


ずっと黙っていた青峰くんが、
突然口を開いた。


「…逃げても
また戻ればいいんじゃねーの。」


「…‼︎」


青峰くんはわたしの肩から顔をあげた。


「すみれ、そこ座れよ。」


…?


青峰くんに言われてその場に座ると
青峰くんもわたしの隣に座る。


「…?どうしたの?」


「…。」


青峰くんはまた黙ってしまう。


「初めて会った時みたいだね。」


「…っ⁈」


「電車の中でもこうやって座って、
たくさん話したじゃない?」


「話してたのはおまえだろ?」


「いいじゃん!」


青峰くんとの何気ないやりとりが、
とても心地よい。

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