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〜Mint Candy Story〜

第42章 -電車-(青峰大輝)[後編]


「それにしてもビックリしたぁ。
いきなり青峰くんが来るんだもん。
久しぶり…だね。」


久しぶり…といっても、
あの電車の中で会って以来、
2回目なんだけど…。


「あぁ。
つぅか、おまえ、バスケ部
辞めたんじゃなかったのかよ?」


青峰くんは、
ユニフォーム姿のわたしを
上から下までジッと見ていた。


「…辞めたよ。今日は助っ人。
助っ人なのに、負けちゃったけどね。」


悔しかったり情けなかったり、
複雑な気持ちだったけど、
それは悟られたくなくて、
自嘲気味に笑う。


「おまえ、なんで…」


「青峰くんは部活?」


これ以上バスケのコトを
聞かれたくなかったわたしは
青峰くんのことばを遮った。


「部活じゃねーけど…」


今度は青峰くんが、
なんとも言えない表情になる。


なんだろ…なんとなく…
青峰くんの表情が
自分と重なる気がした。


気のせいかな…。


「それよりいいの?」


「何がだよ?」


「彼女…体育館にいなかった?
ロングヘアの女のコ。」


体育館の脇にいた
あのロングヘアの女のコ…
きっと青峰くんの彼女だ。


「あ?さつきかよ…
あいつは彼女じゃねーよ。」


「じゃあ、彼女予備軍?」


青峰くんをジッと見つめる。
青峰くんのことばを待つ
わたしの心は
ドックンドックンと
いつもより鼓動が大きい。


大丈夫…。別に青峰くんのコト…
好きなわけじゃ…


「バカ!ちげぇよ。
ウチのマネージャーで
ただの幼なじみ。」


「え⁈」


それって…めちゃくちゃ
彼女になる王道パターンじゃん。


「はぁ…。
さつきは他に好きな奴いるって。」


わたしの表情から察したのか、
呆れたように青峰くんが言う。


じゃあ、片想…


「片想いでもねーからな?」


「…っ⁈なんでわかったのー⁉︎」


ビックリしすぎて、
わたしの目はまん丸になってると思う。


「はぁ…顔に書いてある。」


青峰くんがわたしの頭を
わしゃわしゃとしながら言う。


「うわっ…痛いってば〜」


慌てて青峰くんから離れるけど、
わたしの心の大きな鼓動は、
また小さくなっていった。


「か…彼女じゃないのはわかったけど…
あの…急にどうしたの?」


「何がだよ?」


青峰くんはまた
ジッとわたしを見つめていた。

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