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〜Mint Candy Story〜

第42章 -電車-(青峰大輝)[後編]


「うわぁ…すごい!」


「何がだよ?」


「学校の屋上って初めて!」


思わず青峰くんの手をはなし、
フェンスまで駆け寄って、
景色を眺める。


ウチの学校は屋上がない。
初めての屋上に
思わずはしゃいでしまう。


まだまだ暑いけど、
時折吹く風が、
試合後の体に気持ちよかった。


「こっち来いよ。」


「っ⁈」


青峰くんにまた手をギュッと掴まれ、
胸が熱くなるのを感じる。



忘れてた…青峰くんと2人きり…



わたしは黙って青峰くんについていく。


「気をつけろよ。」


そう言って青峰くんは、
塔屋の壁にある梯子を
慣れたように登っていく。


ちょっと幅の広い梯子…
わたしは歩幅を広げながら、
ゆっくり青峰くんの後ろを登った。


「ん。」


先に登った青峰くんは、
上から手を差し出してくれる。


「ありがとう。」


わたしはその手を掴んだけど、
ジッとわたしを見つめる
青峰くんの目を直視できなかった。


「うわぁ…高い!」


青峰くんに手を引かれ、
塔屋に登りきると、
わたしはなんだか恥ずかしくて、
その気持ちを見透かされたくなくて、
青峰くんの手をはなし、
さらに高くなった場所で、
景色を見回した。


「おい!落ちるぞ。」


…ギュ。


「あ…青峰くんっ!」


でも、今度は青峰くんに
後ろから抱き締められてしまう。


「あの…!ちょっ…は、はなして!」


「いやだ。」


「あ…あのねぇ…」


間髪入れず、
”いやだ”と言う青峰くんを
不覚にもかわいいと思ってしまう。


こんなに大きいコが、
子どものように”いやだ”って…。


青峰くんの腕の中で、
思わずクスクス笑ってしまった。


「…なんだよ?」


「なんでもないよ。」


でも、まだクスクスはおさまらない。


「なんでもなくねぇだろ?言えよ。」


青峰くんの返しが、
すべてかわいいと感じてしまう。


「ふふ…かわいいなと思って。」


「は⁈なんだよ、それ⁈」


「だって…♪」


わたしは青峰くんの
腕の中から抜け出し、
くるりと振り返って、
青峰くんを見上げた。


ジッと青峰くんを見上げると、
青峰くんは少し照れたように
たじろいて顔を背ける。


やっと青峰くんを見れた。

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