第42章 -電車-(青峰大輝)[後編]
あっという間に夏休み最終日…
8月31日…
桐皇学園との練習試合の日。
練習試合への参加が決まってから、
部活の練習にも参加していたので、
咲花以外の部員ともだいぶ打ち解けた。
でも…やっぱり怖い…。
「すみれ!どうしたの?」
桐皇の更衣室で着替えていると、
咲花がわたしの顔を覗き込んできた。
「咲花?あのね…」
「…うん?」
「今日って夏休み最終日だよね?」
「うん。」
「てゆぅか、まだ夏休みよね?」
「うん。」
「青峰くん、
今日いるとは限らないよね?」
「……。」
自分の気持ちを悟られてはいけない。
わたしは咄嗟に誤魔化して、
じーっと咲花を見つめた。
「へへっ♪」
「笑ってごまかさないのー!」
咲花に軽くデコピンをおみまいすると、
咲花は慌ててフォローする。
「でも、いるかもしれないじゃない。
強豪校だもん。部活してるでしょ?」
「フォローしなくても大丈夫だって。
試合はやる気満々だから。」
わたしはバッシュの紐を結び直した。
「そろそろ行くよー!」
先輩たちに呼ばれ、
わたしたちは更衣室を出る。
胸がドキドキしている。
久々にユニフォームを着たから?
それとも…
青峰くんに会えるかもって
本当はすごい期待しているから?
ドキドキの正体はわからない。
なんとでも言える。
でも、今は…
目の前の試合に向き合わないと。
試合に出るからには、
強豪だろうがなんだろうが…
勝ちたい!