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〜Mint Candy Story〜

第41章 -海常-(黄瀬涼太)


「ほらほら、そこまで〜!
皆お菓子並べてー!」


オレがクリームまみれで
呆然としていると、
すみれ先輩がニコニコしながら
大きなケーキを持って現れた。


「黄瀬くんがケーキみたい♪
でも、本番のケーキは、
こっちだからね♪」


大きなケーキだけど、
見た目からして市販のものではない。


「コ…コレって…すみれ先輩の…?」


「そ♪一応手作り♪
頑張って作ったけど、
味はあんまり期待しないでね?」


ペロリと舌を出して言う
すみれ先輩はとても可愛かった。


「バーカ‼︎すみれのケーキは…
その…まぁ…なんだ…
まぁ…うめぇよ。」


「幸ー‼︎もっとしっかり褒めてよー!」


オレがすみれ先輩に見惚れていると、
後ろから笠松先輩が現れ、
タオルを差し出してくれた。


「んっ‼︎さっさとクリーム拭けよ。」


「あ…ありが…⁈」


笠松先輩が差し出してくれた
タオルは新品だった。


まだタグも付いている。


「笠松先輩?このタオル…?」


「ん‼︎まぁ…一応…
誕生日プレゼント…だよっ‼︎」


「黄瀬!オレからも!」


扉を開ける前にいなくなった
小堀先輩もいつのまにか戻ってきて、
オレにタオルをくれた。


「おー‼︎黄瀬ー‼︎オレらもあるぞー‼︎」


「…っ⁈えっ⁈おわっ…‼︎」


森山先輩に早川先輩に中村先輩…
それに他の皆も、
次々にオレの頭にタオルを
ポンと放り投げてくる。


クリームまみれの次は、
タオルまみれだった。


「さっさとそれで拭いてこい‼︎」


「ハ…ハイッ!!」


オレは溢れんばかりのタオルを
胸いっぱいに抱え、
いったん体育館の外へ出た。








「はは…っ…
誕生日も悪くないっスね…」



あったかい気持ちがこもった
たくさんのタオルに埋れ、
オレは熱くなる目頭を
押さえるのをやめ、
自然に任せて涙を流した。



たくさんのタオルが、
オレの涙を受け止めてくれるから。



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