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〜Mint Candy Story〜

第41章 -海常-(黄瀬涼太)


365日のうちほぼ毎日ある
めんどくさい授業も終わり、
やっと部活の時間。


オレの唯一好きな時間。


朝練以上にすごい歓声を浴びながら、
練習を続けた。


誕生日とはいえ、
365日のうちの1日に変わりはない。


今日も自主練をしてから、
帰るつもりだったが、
部活終わりの直前、
すみれ先輩が体育館中の
カーテンを閉めはじめ、
2階のギャラリーや体育館入口にいる
見学者…つまり、オレの
ファンのコたちを追い出し始めた。


「今日はこれから
大事なミーティングなので、
退室してもらえるかな?」


「「「えぇっ⁉︎」」」


「「「わたしたちは、
黄瀬くんを待ってるんです!」」」


いつもと違うバスケ部側の対応に
不満を漏らす女のコたちに、
案の定、すみれ先輩は、
手こずっている…


そう思って、オレは
すみれ先輩に近づいたが…


「ほんとにごめんね。
でも、今日は特別‼︎出血大サービス!」


ガシッ‼︎


…っ⁈


オレが近づいていたコトに
気付いていたのだろうか?


突然すみれ先輩に腕を掴まれ、
オレは女のコたちの前に押しやられた。


「30分‼︎今日は特別に
黄瀬くんが体育館の外で
皆さんのお相手をします!」


「「「きゃーーー♡♡♡」」」


は⁈聞いてないっスけど…
つぅか、ミーティングなんて、
言ってたっけ…?


オレはすみれ先輩を見下ろし、
思わず少しだけ睨んでしまった。


「ごめんね。
でも、今日はほんとにほんとに
大事なミーティングで、
しっかり準備したいの。
だから、お願いっ‼︎」


申し訳なさそうに
小声で頼むすみれ先輩…


好きな人の頼みごとは、
全部引き受けたい…


とはいえ、
この頼みごとはちょっと酷っスね…


しかも、誕生日なのに…


「黄瀬くん?」


すみれ先輩が困ったように
オレを見上げてきた。


「大丈夫っスよ☆」


すみれ先輩、ズルいっス…
そんなふうに頼まれたら、
オレは断れない。


オレはすみれ先輩に
二カッと笑って見せ、
ファンのコを引き連れて、
体育館の外に出た。


「ありがとう、黄瀬くん!
30分たったら戻ってきてね!」




すみれ先輩の声を背中に受けて。
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