• テキストサイズ

〜Mint Candy Story〜

第39章 -映画-(宮地清志)


すみれは学校を出て、
そのまま息のつづく限り走り続け、
気がついたら、
家の近所の公園まで来ていた。

すみれはベンチに座り、
昨日からのコトを思い出す。

皆…それぞれ真剣だった。

「どう…すれば…」

すみれは俯いて考えていたが、
頭に浮かぶのはもう1人の部員…

「やっぱり…悠馬を
忘れたほうがいいのかな…」

女のコに人気のある悠馬…
その悠馬に気持ちを伝えられない…
今、悠馬の近くにいられるのは、
”幼なじみ”という関係があるから。

幼なじみじゃなかったら、
きっと話すコトもできなかった。

なんの取り柄もない自分を
好きだと言ってくれる人がいる…

「はぁ…はぁ…すみれっ‼︎」

すみれが1人考えを巡らせていると、
1番聞きたかった人の声がした。

「…っ⁈ゆう…ま…?」

息をきらしていた悠馬だが、
すぐに息を整え、
すみれを睨んで怒鳴りつける。

「おまえ‼︎なんで勝手に先帰ってんだよ⁈」

「え…?あ…。…ごめん。」

すみれは謝るが、
悠馬の怒りはおさまらない。

「電話もメールも無視しやがって‼︎
ふざけんなっ‼︎」

「…ごめんてば。」

「…⁈」

いつもなら言い返しても
おかしくないすみれがおとなしい。

悠馬はすみれの隣にどさっと座った。

「今日…部室で聞いた。」

「…何を?」

きょとんとしてすみれが尋ねる。

「あいつら…おまえに告ったんだろ?」

「な…っ⁈⁈⁈」

「村木と悠也と尾高と小坪と黄緑間…」

突然の悠馬のことばに、
すみれは真っ赤になってしまう。

「あの…その…」

「おまえ…全然、
気付いてなかったもんな。
こっちは気が気じゃなかったのによ。
もう…返事したのか?」

「え…?」

「今からじゃ…遅いか?」

「悠馬…?」

…ギュ。

悠馬は優しくすみれを抱き締めた。

「オレ…おまえがいつも
横にいてくれるから…
安心しすぎてた。
オレから離れんな…。
オレ…すみれが好きだ!」

「悠馬…‼︎」

すみれはゆっくり悠馬の背中に
手をまわした。

「わ…わたしも好き。」

「すみれ…」

…チュ。

夕陽でキレイに染まる赤い公園で、
悠馬は優しくすみれにキスをした。


/ 550ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp