第39章 -映画-(宮地清志)
ヒュン…
「きゃっ‼︎」
尾高の唇が触れるギリギリの瞬間…
グラウンドからボールが飛んできて、
尾高は慌ててすみれを引き寄せ、
ボールからかばった。
「大丈夫っすか?」
「あ…ありがとう。」
すみれは慌てて尾高から離れた。
「ったく、危ねーなぁ…誰だよ…
つぅか、邪魔されちゃったし。」
「えっ⁈あ…」
すみれは尾高に
何をされそうになったのか自覚をし、
さらに真っ赤になってしまう。
「今日はお預けだなぁ…また今度ね♪」
尾高はすみれの耳元で囁いてから、
部室に入って行った。
「ど…どうしよう…」
またしても呆然と立ち尽くすすみれ…
一方グラウンドでは…
なんとも言えない表情の悠馬がファンの女のコにキャアキャア騒がれながら、部室のほうを見つめていた。