第39章 -映画-(宮地清志)
朝練では、悠馬と悠也とは一切話せず、
村木とは少しぎこちなさが残ったが、
普通に会話をした。
でも…すみれは集中できないでいた。
昨日の村木の告白…
朝の悠也のキス…
それに…
悠馬の機嫌の悪さが頭を離れない…
悩みは何一つ解決していないのに、
無情にもあっというまに放課後になり、
すみれも部活に行かなければならない。
部室に向かう途中、
すみれは偶然尾高と会い、
グラウンドを横目に見ながら、
部室に向かう。
「すみれさんて
ほんと可愛いっすよね♪」
「は⁈もう…。なんか企んでる?」
すみれは正直ドキッとしていたが、
冗談だろうと思い、苦笑いしてこたえる。
「いやぁ…本心っすよ?」
前を見て歩きながら、
サラリと言った尾高は、
すみれの返事を待たずに
ことばを続ける。
「悠馬さんと付き合ってるんすか?」
「えっ⁈つ…付き合ってないよ‼︎」
変なタイミングで聞かれてしまい、
赤くなって全力で否定するすみれ…
「ギャハハッ…すみれさん、
やっぱ慌て方も可愛い!
んじゃ、悠也さん?」
「ち…違うってば‼︎」
ゆでダコ状態のすみれの顔を見て、
尾高はふと優しい目つきになり、
その場で立ち止まる。
「じゃ、オレと付き合いませんか?」
「え…⁈」
「オレと付き合ったら、
絶対楽しいっすよ♪」
そう言った尾高は
すみれの頭を撫で、
そのまま顔を近づける。
「お…尾高く…⁈」