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第5章 空白の記憶


…気付いたら大きな画の目の前にひとり突っ立っていた。
何を、していたんだろう…?
何も思い出せない。
「あ、お母さんのところに戻らないと」
イヴはお母さんの元へ行こうと思いカウンターの所へ行くが居ない。
どこに行ったんだろう。
お母さんを探しながらぶらぶら展示されてる画などを見ていく。
色々まわっていると、赤い薔薇の像があるのに気付いた。
それに近づこうとしたとき、青いかみのボロボロのコートを着た背の高いお兄さんが立っていて、そのお兄さんの後ろに立っていた。
すると、いきなりお兄さんはため息をつきだした。
「変よねぇ…この像を見てると、なんだか懐かしく感じるの」
…懐かしい?
あぁ、でもわかる気がする。
「なんだか、大切なことを忘れてるみたいだわ」
大切な…こと?
「って、変よね。いきなりこんな事アナタに言っちゃって。ごめんなさいね、イヴ」
お兄さんはこっちを見てイヴの名前を呼んだ。
え、どうして名前を知って…
「え、イヴ?誰よイヴって…ごめんなさい。なんだか疲れちゃってるのね」
「イヴ…それ、わたしの名前よ」
「え…?そうなの。アナタ、イヴっていうのね。不思議な縁ね。」
イヴはこくりとひとつ頷いた。
「じゃあそろそろ帰るわ。さよなら」
さよなら?
さよならなの…?
少しさびしい気持ちを胸に抱いていたとき。
お兄さんの向こうから金髪の少女が走って来た。
前を見てなかったのか、お兄さんとぶつかりこけかける少女。
「おっと、ごめんなさいね。大丈夫だった?」
「ん、うんっだいじょうぶよ!」
「あら、綺麗な髪ね」
「えへへぇ♪あっイヴ!いた!」
金髪の子の方へと目を向けると…
「あ、メアリー。どこにいたの?」
「ごめんなさぁい、でもでもっあえたからそれでいいでしょっ」
「まあね、でも迷子になっちゃ困るから」
「はぁい、お姉ちゃん♪」
「あら、姉妹?」
お兄さんがイヴ達の会話を聞いて尋ねる。
そう、わたしには妹が居てー…
金髪の明るい、妹が…
居た、はずで…名前はメアリー…
「仲良いのね。でもあまり似てないわね?お父さん似とお母さんと似で別れてるのかしら?」
似てない…?
うん、わたしたちは似てない…
「そうねぇ、あっそうそう。わたし、今日ポケットにレモン味のあめ玉を持って来たのよ。待っててね…あれ?無いわ?おかしいわねぇ…」
あめ玉…
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