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第5章 空白の記憶


イヴは考えもなしにスカートのポケットに手を入れてみる。
そして出て来たのは…
レモン味のあめ玉だった。
「え、どうしてアンタが…」
「わからない…」
「?」
メアリーもポケットに手を入れてみる。
そこから出て来たのは黄色い薔薇の造形。
「黄色い…薔薇?」
お兄さんはポケットから手を出し手を開けると出て来たのはライター。
「まって…なにか、なにか思い出しそうなのよ…」
「んんんんんっわたしもそうなの…」
お兄さんも、メアリーも?
実はイヴもそうだった。
イヴはもう一度赤い薔薇の像を見る。
赤い…薔薇と、黄色い薔薇とー…
お兄さんを見て
「青い……薔薇?」
そうイヴが呟いたとき、
「あ!そうよ!!!青い薔薇よ!」
お兄さんは思い出したのか、いきなり声を上げた。
「え…?」
「イヴ!あの時約束したじゃない!マカロンを食べに行きましょうって!本当の光を浴びようって!」
マ、カロン?
「いっしょにあの変な美術館から出ようと頑張ったじゃない!」
あぁ…
「覚えてない…?」
しゅん…と落ち込むお兄さんに、わたしは
「覚えてるよ、ギャリー」
そう言って手の平に置いたレモン味のあめ玉を見せた。
「ギャリー?」
メアリーがギャリーを見て難しい顔をする。
そうだ。
メアリーは妹じゃない。
いっしょにあの美術館から出てきた、新しい友達。
「メアリーはゲルテナの最終作品なんだよ」
イヴがそれを伝えると、メアリーは口を開けてイヴを見た。
「……ゲルテナ。あ、おとうさん」
やっと思い出したのか、メアリーから笑顔は消えた。
おとうさん。
それが少し引っかかったらしい。
しかしギャリーはイヴとメアリーの手を取った。
「やったじゃない!アタシ達、出られたのよ!メアリー、ずっと一緒に居れるのよ!3人でマカロンを食べに行きましょう!」
「マカロン?…わたしもいっていいの?」
「もちろんよメアリー!」
「メアリーは友達だよ」
「ともだち…」
するとメアリーの頬はぴんくに染まっていき、笑顔になった。
そして、いつもの笑顔で

「ありがとっ♪」

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