第2章 ~独りぼっちの世界は白~
「・・・・で、何?」
公園にたどり着いた所で私は少年に尋ねた。
「え?あ、いや・・・・紫音さんのその傷についてなんだけど・・・」
「言わない。次」
この会話をとっとと終わらせたい私としては
何を言われても黙秘をするに限る。
そう思いながら袋に入ったおにぎりを食べる。
「えー・・・もしかして、紫音さん何も喋らないつもりかな?」
いかにも困ったなぁ、といった風に苦笑いする。
「・・・質問による」
仕方ないのである程度は答える事にした。
どうせ、この少年とまた会う事は無いだろう。
この広い世間の中で、ましてや学校もちがう少年と何回も会えたら、
ゲームの主人公とヒロインはあんなに苦労しないだろう。
「え、じゃあ・・・これはボクがなんとなく思った事だけど・・・
キミ、もしかして親に虐待されてる?」
「っ・・・・!!!」
いきなり本当の事を言われて口ごもってしまった。
これでは肯定してるも同じだろう。
「あ、やっぱり?キミも?」
と、少年はにこやかに笑って言う。
え、「キミ"も"」・・・?
「実は、ボクもなんだ。本当の親ではないけどね。」
ほら、と言って少年は自分の長袖を捲って見せた。
そこには、真っ白な腕に痛々しい怪我の跡があった。
「せめて腕は止めてほしいなぁ・・・夏でも長袖はちょっと暑いし・・・
あぁ、でも日に焼けたくないからどっちにしろ長袖かな。」
少年は一人で何かを言っているが、私はそれどころじゃなかった。
同じ境遇の人がいるなんて、思いもしなかった。
「で・・・・って、ねぇ・・・聞いてる?」
その言葉にはっとして、顔を上げる
「・・・聞いてなかった」
「あはは、ひどいなぁ・・・それなりに話題のレパートリーには自信あったんだけど・・・」
と、残念そうに笑う。
でも、その後も私は少年の話は耳に入らなかった。