第2章 出会い
その話を龍姫はただ黙って聞いていた。それは、仕方のないことだということを十分に理解しているからこそであった。
「俺も行く」
龍姫の様子に気付いた峰龍は、そう呟いた。その言葉に、柾天、桂樹と共に龍姫も驚いていた。宮中行事の嫌いな峰龍が自分から宮中へと行くことなどなかったからだった。しかし、その望みは叶うことは難しかった。帝の下へ命令として行くことになった龍姫や柾天とは違い、自身の望みで宮中へと上がることはまだ子どもである峰龍には無理な願いなのだった。
「陛下の下へ行くのは・・・」
『無理だ』と柾天が言おうとしたそのとき、長身の男が静かに入ってきた。
「じゃぁ、行っておいで」
「尋!」
その人は、龍姫と峰龍の頭を順に撫で桂樹のそばに座った。『前園那尋(くにひろ)』。峰龍の一番上の義兄で、柾天、桂樹と幼馴染であった。物静かで思慮深い、そんな印象を与える男であった。
「尋兄上。でも・・・」
「実は、家にも陛下から伝令があってね。東宮様の遊び相手を探しているそうだ。剣術の稽古などで良き友となれるものを探しているようだったので推薦しておいたんだ。お前が宮中嫌いというのを知っているからどうかと思っていたが丁度よかったな」
那尋は、そう静かに微笑みながら話を進めていた。