第1章 幼少期と日常
妖精の尻尾ギルド、裏庭、湖のほとり。
此処で勝負する事になった。
一回戦目<ナツ・グレイVSアギト>
二回戦目<エルザ・ミラVSアギト>
という組み合わせになった。
「久々にやるか!」
「燃えてきたぞ!」
「始めいっ!!」
組み合せが二対一である事に誰も突っ込む事はなく、マスターの合図でナツとグレイは地面を蹴った。
「火竜の、鉄拳!!」
『俺流、挨拶だっ!』
「うぐっ!」
ナツが手に炎を纏いアギトに殴りかかろうとした。
しかしアギトはそれを難なく躱し、ナツの頭に頭突きを、更に腹に回し蹴りを食らわす。
「アイスメイク・"突撃槍"(ランス)!」
グレイはナツの反対側から10本近くの氷の槍を外から内へ曲線を描きながら発射させる。
『っと、氷の造形魔法か…はあ!』
アギトは氷の槍に自ら走り寄った。
「なっ!?」
グレイは目を見開いた。
氷の槍を手で砕き、足で蹴り割ったからだ。
『こんなもんか?』
「くそっ…アイスメイク・"ソーサー" !!」
アギトはグレイを挑発した。
それにまんまと引っ掛かったグレイは新たに造形魔法を放つ。
目の前に魔法陣を展開させ、そこから無数の氷の刃のようなものを発射して攻撃をする。
氷の刃を躱しながら、アギトはグレイを見つめていた。
『(もう少し…)』
「アイスメイク・"大槌兵"(ハンマー)!」
グレイは魔法を変え、アギトの真上に巨大な氷のハンマーを作り上げてそれを落下させて攻撃する。
『はあっ!』
しかしそのハンマーすらもオーバーヘッドキックの様に蹴り壊した。
「今だ!」
「"火竜の鉤爪"!!」
『!』
グレイの攻撃に気を取られていたアギトは完全にナツの事を忘れていた。
しかしアギトは氷のハンマーのカケラを足場にしてナツの攻撃から免れた。
アギトに当たらなかった攻撃は地面に大きな穴を空ける事になった。
「アイスメイク・"床"(フロア)!!」
『うお!?』
着地しようとした足場は地ではなく氷…グレイの魔法によって凍らされ滑るようにする、アギトは足を滑らせて尻餅を付いてしまった。