第5章 さらば、もう一人の友よ
<side out>
「…姉ちゃん、そろそろ行こう」
「もう少し、…」
カルディア大聖堂の墓地に"LISANNA"と彫られた墓石の前に佇む、傘を持ったエルフマン。
その足元には、屈んだミラジェーンが墓石の主に手を合わせて祈りを捧げている。
墓石には二人が供えたであろう花束が置いてあった。
「ミラ姉~~! エルフ兄ちゃーん!」
「「…!」」
自分達を呼ぶ声に二人は振り向いた。
そこには…もう会う事はないと思っていた銀髪の少女がこちらに走ってきていた。
「ウソ…」
信じられない出来事にミラジェーンとエルフマンはただ茫然と立ち竦む。
手に持った傘がポロッと滑り落ちた。
「リサ…ナ…!」
三人の目から涙が溢れる。
地を蹴って飛び込んで来たリサーナの体をミラジェーンはしっかりと受け止め、ギュッと強く抱き締める。
その二人の華奢で小さな体を更に抱き締める、エルフマンの大きな腕。
そして与えられたのは…
「おかえりなさい…っ…」
求めていた言葉だった。