第5章 さらば、もう一人の友よ
「二年前ミラ姉エルフ兄ちゃんと仕事に行った最中、私は意識を失った
多分その時アニマに吸い込まれたんだと思う
当時、アースランドには小さいアニマがたくさんあったんじゃないかな?
エドラスで目が覚めた私は驚いた…みんな少し雰囲気が違ってたけど、私の知っている人たちがそこにいた
しかもみんなが私をエドラスのリサーナだと思い込んでいたの
多分、エドラスのリサーナは…既に死んでいるんだと思った…ギルドの雰囲気がね、そんな感じだった…」
服の裾をギュッと握り、俯いてそう語るリサーナはどこか悲しげで、苦しそうだ。
俺達は何も言う事が出来ず、ただ静かに耳を傾け続けた。
「私は本当の事を言えなかった…エドラスのリサーナの"フリ"をしたの」
「…、」
「最初は戸惑ったけどみんなに合わせながら自分の魔法を隠し…段々エドラスの生活にも慣れて来た
そして二年が過ぎ、六日前…アースランドのナツとハッピーがやって来た」
「あん時か…何であん時本当の事を言わなかったんだよ!?」
『止めろよナツ』
「だって!」
『言えなかったんだよ…言いたくても』
エドラスのミラとエルフマン、妖精の尻尾をもう悲しませたくないって思ったんだろう。
自分はこれからもエドラスで生きて行くから…バレてはいけない…って。
『逆展開されたアニマによって、体内に魔力を持ったリサーナが此処に来た…って事だろ?』
「うん…その時にね、初めて聞かされたんだ……」
ミラもエルフマンも…妖精の尻尾のみんな最初から自分がエドラスのリサーナではない事に気が付いていたらしい。
(気付いていながらも言い出せなかった…ごめんな)
(これ以上、本当のお姉ちゃんとお兄ちゃんを悲しませてはダメよ)
(アースランドの私達によろしくね)
「「「……」」」
「、…」
全てを話したリサーナは黙ってしまった。
『…じゃあ、やる事は残ってるな』
俺がそう言うとリサーナは俯いていた顔をを上げた。
『まだ…言ってもらってないだろ?』