第5章 さらば、もう一人の友よ
「人間のアニマを借り、私たちの作戦は成功しました
しかし…たった一つだけ計算外の事が起きたのです」
此処で俯いていたシャゴットが顔を上げ、シャルルに目を向けた。
「それはシャルル…貴女の力」
「!?」
「貴方には私と同じ様な"予言"の力があったのです
しかしそれは無意識に発動しているようで、貴方の記憶を混乱させたのです
避難させた100人のエクシードのうち、貴女一人だけが…恐らくエドラスの断片的な未来を予言してしまった
そして、それを使命だと勘違いしてしまったのです…」
「そんな…」
「じゃあオイラは…」
「元々そんな使命はなかったのですよ
本当に不運に不運が重なり、貴女は自分の<ありもしない使命>を作り出してしまった」
「ぼきゅ達は君が自分の力を知らないのを良い事に、さもぼきゅたちが操っているように言ってみたんだ…ごめんね…」
「全ては女王様の威厳を演出するための猿芝居…本当に申し訳ない」
唖然と佇むシャルルに涙ぐみながら謝罪をするナディと…!?
一夜に凄く似たエクシード…一瞬寒気が…!
「たくさんの不運と人間に対する私の虚勢が貴女を苦しめてしまった
いいえ、六年前卵を取り上げた全ての家族たちを不幸にしてしまった
だから私は貴女に剣を渡したのです
悪いのはエクシード全てじゃない…私一人です」
『それは違うと思うぜ、女王様』
「…!」
「アギト?」
『みんなの事を思うのは悪い事じゃねぇ
みんなを守りたいというアンタの想いが伝わったからこそ、こうしてみんな生きてるんだろ?』
俺の偏見だけど、全部あの自己中王様が悪いんだ。
うん、俺の中ではそーゆー事にしとこう。
「アギトさんの言う通りですよ!」
「女王様の行動は全部私達を思っての事!」
「俺達だって自分たちの力を過信してたわけだし」
「折角アースランドに来たんだからさ、六年前に避難させた子供たちを探しましょう!」
「おお! 僕達にも新しい目標が出来たぞ!」
「今度は人間と仲良くしよう!」
「新しい始まりなんだー」
「…っ、みんな…」
そう言って翼を羽ばたかせ、空へと舞いあがる一人のエクシード。
その言葉に他の者たちも笑顔を浮かべ、「そうだ、そうだ」と同意を示す。