第5章 さらば、もう一人の友よ
「わかってます そういう"設定"が必要だった、って事ですよね?」
「それに本当の事を言ってたらきっとパニックになってたと思うわ」
申し訳なさそうにそう語る四長老達に、「成程…」と納得するウェンディ達。
だけど…シャルルだけはどうにも腑に落ちない様子だな。
「じゃあ何で…恨みがないなら何でアギトは処刑しようとしたのよ!!」
「「「あぁああ!!」」」
『…そーいえば』
すっかり忘れてた。
と思ったらシャゴットが口を開いた。
「それは私がもう一つ未来を見たからです」
「未来?」
「何よ、もう一つの未来って」
うん、俺も凄く気になる。
「それは…城の地下牢で傷だらけになった貴方が拘束されている未来です」
「「「えぇええ!?」」」
あー…クロスの作戦の演技な。
「滅竜魔導士に恨みは無いので誰も処刑するつもりはありませんでした
なのに私が見た未来は"エクスタリア直々に処刑"と言う話になっていました」
「そこで我々は未来の通り"エクスタリア直々に処刑するから"と言って人間達から貴方を預かり、何故そのようになったのか経緯を聞こうとしたのです」
「でもエクスタリアに人間を連れて来ちゃいけないんじゃ…?」
「なので処刑の為という設定を設けただけなのです」
つまり俺を助けようとしてくれたって事か。
処刑するのに何故わざわざエクスタリアなのかなって不思議だったんだよな。
「アギトさん、本当にごめんなさい…」
『いいよいいよ もし捕まってたとしても殺されなかったって事がわかったんだし』
まぁ殺されるつもりもなかったし。
俺への誤解が解けたので、シャゴットが説明を続けた。